Special exhibition: Sesson a singular painter
雪村周継
戦国時代、東国で活躍した画僧。同時代の記録には登場せず作品だけがその足跡を伝えるのみ。 常陸、会津、鎌倉、小田原、三春で活躍したがその滞在時期は必ずしも明確ではない。
武家に生まれたが廃嫡されて僧となり、絵を学んだという。東国にあって中央の画壇の様式をよく学んでそこに独特の描法を加え、アレンジするなど
独創的な作品を多く描いた。この時期の絵画としては異例なほど多くの作品が伝わっており、雪村を庇護した戦国大名から、近代の岡倉天心に至るまで多くの人に愛され続けました。この展覧会は、雪村の主要作品約100件と関連作品約30件で構成される展覧会です。
狩野芳崖、橋本雅邦等現代の私たちにも馴染みのある画家達も雪村の作品を模写し、勉強していたといいます。尾形光琳もその一人として有名な画家でしょう。
“杜若図屏風”や宗達作品を模した“風神雷神図屏風”等煌びやかな作風で知られる江戸時代中期の画家光琳と戦国時代の水墨画家雪村とでは一見接点などないように思われるでしょう。
しかし、実際光琳は雪村の作品をいくつも模写しており、また、光琳の保有した画印のひとつに「雪村」印があることからも、光琳が雪村に私淑していたことは確かであると言えます。
光琳の作品へのその直接的な影響は布袋などを描いた水墨表現にみることができて、光琳が雪村に惹かれたのは、雪村画の持つ自由で伸び伸びした筆致や作品全体に溢れるユーモアだったのかもしれない。また、興味深いことに、光琳の晩年の代表作“紅白梅図屏風”と雪村の“欠伸・布袋・紅白梅図”の枝ぶりなどは驚くほどよく似ています。ここでは雪村作品のエッセンスの染み込んだ光琳作品を鑑賞できます。
また雪村というと、力漲る仙人など、豪快に動き笑う人物画のイメージが強いですが、身近な動植物も多く描いています。 蟹・猫・猿・馬・兎・鳩・雀・鶺鴒・鷲・蟷螂・鯉・薔薇・菊・竹・野菜等々常陸時代から晩年まで様々な作品が残されています。動物画や花鳥図画には、墨一色か墨に淡彩を附した作品が多いが注目すべきは 墨の濃淡の絶妙な使い方であったと言えるでしょう。
添付は私の落書きですが“百馬図帖”もそのうちの一つであり、今年4月に訪れた鹿島神宮に奉納されていたという伝承のある作品なんだそうで親近感のあるものでした。確かに宝物館には馬具の展示が多かったな。
100図作画するまで神宮に籠っていたと言われるこの作品は現在は13図のみ伝わってます。簡略的な輪郭線、あるいは墨の濃淡だけで馬の様々なポーズを描きだす技術は秀逸です。大げさな動きと現実離れした描写で表現することを得意とした雪村の絵が実は手触りや温度といった普遍的な現実味を伴う細部の描写に支えられていることを示す。東京会場は会期が終了してしまいましたが、まだ滋賀で開催します、是非ご興味持たれた方遊びにいかれてはいかがでしょう。
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